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大変面白かったです。

野崎まど氏といえば、飄々としたユーモアのある文体を楽しんでいたら、いつの間にか肋骨の間に冷たい刃を差込まれるような展開が待ってるあたりが魅力的なんですが、本作はそんな氏の集大成かと思います。

これで締めくくりたいくらいなんですが、せっかくなので未見の方向けにあえてオススメの読み方を記載しておきます。勝手にからあげにレモンかけて差し出すような愚行と言えなくもないですが、絶対にその方がおいしく召し上がれるから!と声を大にして言いたい(特に過去の自分に言ってます)。

2 (メディアワークス文庫)
2 (メディアワークス文庫)

野崎 まど
アスキーメディアワークス
文庫
2012-08-25



あんまり言うとネタバレになるので深くは言いませんが、できれば『2』を読む前に、下記5作品をこの順番で読んでおきましょう。

『死なない生徒殺人事件』
『舞面真面とお面の女』
『小説家の作り方』
『[映]アムリタ』
『パーフェクトフレンド』


舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)
舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)

野崎 まど
アスキーメディアワークス
文庫



小説家の作り方 (メディアワークス文庫)
小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

野崎 まど
アスキーメディアワークス
文庫
2011-03-25


[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)
[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)

野崎 まど
アスキー・メディアワークス
文庫



パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)
パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)

野崎 まど
アスキー・メディアワークス
文庫
2011-08-25



順番もさることながら、できるだけ読んだ記憶が残っている間に読破していったほうがよいです。同じ作家さんを一気に読むともったいないから……と敢えて数年かけて読んだ結果、ほとんど内容を忘れてて『2』を読んで、本来味わえる衝撃を存分に楽しめなくなったら、非常にもったいないと思いますので(特に過去の自分に言ってます)。

あと、本作の裏表紙のあらすじ、けっこうネタバレに近いことが書いてあるので、それすら読まずに手を付けたほうがいいです(この点に関しては、過去の自分は失敗しませんでしたが)。野崎まど氏の作品郡から最初に『死なない生徒殺人事件』を手にして裏表紙を読むくらいならギリギリ大丈夫かもしれませんが、前知識無しで読んだほうが衝撃が大きいのは確かかと。

いろいろ読了後の感想を語りたいところですが、自分では色々補足しきれてない部分もあったりしますしので、本サイトではおなじみのSAKATAM氏の書評を読むのを推奨しておきます。

この小説はきっと、とても面白いので。
午前零時のサンドリヨン
午前零時のサンドリヨン

相沢 沙呼
東京創元社
単行本




推理モノではあるんですが、殺人事件などを扱うのではなく、高校生の身の回りに起きたちょっとした不思議な出来事を題材としていて、日常系ミステリーというジャンルに属する作品かと思います。重々しくはないので、軽く読めていいですね。

主人公が草食系で人畜無害なおとぼけキャラなので、人によっては読んでてイライラするかもしれませんが、個人的には楽しく読めました。マジックを披露するときだけは笑顔なのに、普段はそっけないヒロインとの掛け合いがなんかいい雰囲気で、微笑ましいんですよね。

とはいえ、実際のところ殺人こそ起こらないものの、そんな穏やかなシーンだけではなく、けっこうドロドロした部分も描かれていたりします。それでも読後感が悪くないのは、ライトノベルとはではいいませんが、あえて軽く読みやすく配慮している文体や雰囲気がそうさせるのかもしれません。

4つの短編からなるお話なのですが、それぞれのエピソードが全体の物語内での起承転結をうまく担っていて、それだけでなくすべて読み終えると全編を通す謎も明かされる、という作りになっており、そつなく上手い作品だと思います。続編も出ているようなので、そちらも早速読んでみたいですね。
異次元の館の殺人 (光文社文庫)
異次元の館の殺人 (光文社文庫)

芦辺 拓
光文社
文庫
2016-09-08



先日感想を書いた『体育館の殺人』は逆説的にインパクトがある作品名だと思ったんですが、こちらの作品は直球的にインパクトがありますね。ここまで仰々しい名前にしたんだから、さぞ凄い仕掛けがあるんだろうと思って手にしてみたんですが……なんだこりゃ(良くも悪くも)。

館シリーズの見取り図にトイレがないのが気になるような人は、これみてどう思うんでしょう。まぁ見取り図はあるんですが、殺人現場の部屋しか図がないんですよ。こんだけのタイトルの作品なのに、館全体の見取り図が存在しないという。

いやぁ、ほんと未見の人に対する説明が難しすぎる作品ですね。パラレルワールドと新本格ミステリーが融合した、と言ってしまえばいいんでしょうか。この作品の特徴的なところを書いてしまうとネタばれになりかねないので、ネタばれ感想でいろいろ書いてみます。



日本ミステリも変わった話がいろいろあると思いますが、その中においてもかなり極北な作品だと思います。こんな話見たことない、てのだけは確か。あんまりSFという部分に期待せず、変わったミステリーを構築するためにSFを用いました、くらいに構えて読むべきかもしれません。

面白かったかどうかと問われたら「楽しめました、個人的には」と余計な一言を付け足さずにはいられない。よほどの物好きじゃないと、気に入ってもらえるかどうかは未知数な代物ではないでしょうか。
体育館の殺人
体育館の殺人

青崎 有吾
東京創元社
単行本




鮎川哲也賞受賞作にしては、タイトルにひねりがないなぁと思って逆に気になってたんですが、読了し終えてからようやく気づきました。綾辻行人氏の館シリーズへのオマージュだったのだと。そう思うと逆になかなか珍しい館シリーズタイトルとも言えるのかも。館モノなのに見取り図にトイレがちゃんとあるなんて……!

内容的には、エラリー・クイーンが相当好きなんだろうな、と分かるくらいに直球勝負の論理的推理モノでした。この分野は出来る限りのことをほぼやってしまった感があるので、敢えてこの分野で若い方が作品を作られるのは逆に凄いことかと思います。真相は今まで見たことがないような奇抜さは無かったものの、そこに行き着くまでの些細な手がかりの繋がりが面白かったですね。よほど好きじゃないと書くのが無理でしょうね、このジャンルは。

探偵役が高校生のアニメオタクという辺りは、必然性があったのかは何とも言えないところですが、他の作品からの差別化という面でみるとこういうキャラづけもありなのかもしれません。少し捻くれた性格だからこそ、ああいった結末になったりしているのも納得できますし。

ちなみにKindleだと冒頭部分と短編一本が無料で読めますので、これから手にしようか悩んでる方は一読してみてはどうでしょうか。



作者インタビューを読んで知ったのですが、実は文庫版だと読者への挑戦があるようです。

体育館の殺人 (創元推理文庫)
体育館の殺人 (創元推理文庫)

東京創元社
Kindle版
2015-03-12



何やら事情があって単行本版では存在しておらず、文庫化にあたり細かい部分も改修されたらしいので、機会があればそちらも読んでみたいところですね。
安心のペットボトル温灸
安心のペットボトル温灸

若林理砂
夜間飛行
単行本




肩こりなどでダルい時はまみりんにお願いしてお灸をしてもらうんですが、わざわざ頼むほどでもないけど微妙にダルいといった程度のときに、手軽にできる策はないかといろいろ探してたんですが、こちらの書籍がお手軽な割にはなかなか効果があってオススメですね。

表紙で一目瞭然ですけれど、ペットボトルにお湯をいれてお灸にする、といった方法になります。本物のお灸に比べると場所をそこまで神経質にぴったりあてなくてもいいし、お湯沸かすだけで一人で出来るので楽ちんです。肩こりは血行が悪くなるのが原因の一つですから、寝る前はペットボトルで肩周りなどを温めると、すんなり寝れていい感じです。

かなり楽にできていいんですが、お灸とまでいかずとも椅子に座ったまま体の一部を暖めたいな、と思うようになってきて色々探してみたら、こんなグッズを発見しました。

カイロベルトマジック
カイロベルトマジック

立石春洋堂
ヘルスケア&ケア用品
2003-01-20



先ほどの書籍に掲載されてるような、小さめのペットボトルだとちょうどいい大きさなので、肩や首周り、腰に巻きつけて暖かくできるので便利です。ちなみにAmazonで2個購入したところ、別々の色が届きました。知らずに頼んでラッキーでしたけれど、色の指定はできないようですので、好みの色がある方は購入前にご注意を。


"物理トリックの北山"という異名を持つ作者の作品ですから、タイトルからしてこれはもう豪快な物理トリックが待ち受けているんだろうなぁ!と読み始めたんですが、それはもう色々な意味で驚愕されられました(良い意味で)。

この前『その女アレックス』(感想)を読んだ時ぼんやりと感じてたことがあったんですが、琥珀色の戯言の方の感想を見て、自分が何を感じていたのかがはっきりとした輪郭を持ちました。

ただ、これを読んでいて思ったのは、ストーリーの「どんでん返しの技術」においては、われらが日本産ミステリというのは、もう、行きつく所まで行ってしまっているのではないか、ということでした。

そうなんですよね、シャーロック・ホームズを源流とした推理小説は、日本でガラパゴス化して異形の進化を遂げてしまったのではないでしょうか。その極北の作品の一つとして、本書を挙げてみたい。そう思うくらいにショックを受けました。これまたネタばれなしで何も書きようがないので、クリックしないと見れないようにしてネタバレ感想書きます。



それにしても、本当に密室トリック考えるのが好きで好きで仕方がないんでしょうね、この方は。ただ、そのトリックを活かすための舞台や雰囲気作りが毎回大変そうですから、そういう意味でいうと『ダンガンロンパ霧切』シリーズ(感想1感想2感想3)のあのシステムが生み出されたのは必然的なのかもしれません。

『城』シリーズも、『ダンガンロンパ霧切』シリーズも、そしてそれ以外も、とにかく北山氏の今後の作品が楽しみです。
その女アレックス (文春文庫)
その女アレックス (文春文庫)

文藝春秋
Kindle版
2014-11-28



今まで紙媒体でしか小説を読んだことがなかったのですが、今回始めて電子書籍で小説を読むという体験をしました。普通だったらそうしようとするのに幾つかハードルがあるんですが、色々とタイミングも良かったのかもしれません。

たまたま妻と息子だけ実家に帰ってて「久々に一人で自由に過ごせるなぁ」と思った矢先に、書店で「このミス海外部門一位!」というのを目にして「そういえば、数カ月前にとあるブログで徹夜必至の面白と紹介されてたなぁ」と思い出し、「iPadも自由に使えるしKindleで小説読んでみるのもいいかなぁ」と思って、今までマンガはKindleで購入する習慣が根付いてたのもあってその場でiPhoneでダウンロード購入し、自宅に帰ってからこたつに入りながら、iPadを立てかけながら読み始めました。

マンガだとブラウザでKindle本を読めるのに、なんで小説は扱ってないんだろうか、というのが今まで謎だったのですが、実際に読み始めたら理由が分かりました。ドラッグして文字を選んで検索もできるし、行間やフォントの大きさを自由に変えられるし、栞も複数つけられるし、とブラウザのみで実現するのが困難な機能が揃ってるからですね。専門書とかだとかなり重宝する機能じゃないでしょうか。紙媒体と違って常に両手で本を持ってないといけないという事もなく、手放しで読めるのも楽チンで良かったですね。

環境面についてはこのへんにしておいて、本作品そのものに言及を戻します。フランス翻訳の割にはかなり読みやすい文体で、まずそこに感心しました。ミドルネームでたまに呼ばれたりといった事はありますが、海外モノにありがちな人物の混乱は殆ど起きず、たまに忘れた時だけKindleアプリ検索ですぐに思い出す、といった流れで読めたので非常にストレスなく読めました。もし『屍鬼』を電子書籍で読んでたら、かなり楽だっただろうなぁ、とKindleの機能に感服です。

本作の評判の高さを担っているストーリー展開に関しては、読んでる最中は引き込まれてましたが、読了した後だと少し思う所もあります。詳しい感想はネタバレを交えて書かせていただきます。未読の方が本書を手にする前には、極力前情報なしで読まれたほうが、楽しめるかと思いますので。



と少し文句めいた事は書きましたが、この作家のことが気になったのは確かです。刑事たちのキャラクターも魅力的でしたし(特に"プレゼント"の件とか)、なんだかんだで面白かったので、他の翻訳作品に即座に手を伸ばしたのも事実ですし。

死のドレスを花婿に
死のドレスを花婿に

ピエール・ルメートル
柏書房
単行本




これも面白かったのですが、さすがに『その女アレックス』ほどの衝撃はありませんでした。これまたネタバレになるので、クリックしないと見れないようにしておきます。



またまた文句めいた書き方をしてしまいましたが、ピエール・ルメートルという作家の力量は確かなものがあると感じてますので、他の作品もそのうち翻訳されないかなぁ、と願っています。
ダンガンロンパ霧切 3 (星海社FICTIONS)
ダンガンロンパ霧切 3 (星海社FICTIONS)

北山 猛邦 , 小松崎 類
講談社
単行本(ソフトカバー)




待ちに待ったシリーズ第三弾、期待通りに面白かったです。一巻より少し長めな程度で、ページ数的には短い部類ですが、内容的にはかなり満足し、今後の展開にも期待できる充実度だったかと思います。

今回のトリックも凝っていて面白かったんですが、事件まわりについては今回少し地味かな、と感じました。むしろ見せ場はそれまでのストーリー展開かと思います。またまた魅力的なキャラが登場したり、途中で圧巻としか言いようがない場面(本を横からみたら、やけに今回はイラストが多いのかな?と思ってたら、まさかあんなんだとは!)があったり、終盤は次巻の展開が気になる終わり方だったり、とファンへのご褒美が満載でした。

更に巻末には「佐藤友哉×ダンガンロンパ」という、危険としか言いようのない組み合わせの発表まであって、ダンガンロンパファンには今後も見逃せないですね。佐藤友哉氏の何が危険なのかわからない方は、手始めにこちらの作品を読まれてみてはいかがでしょうか。



ぜひ壊れっぷりを堪能してもらった後には、ダンガンロンパとの悪魔合体がいかなる形として具現化されるのかを、一緒に楽しみにしていただきたい所存です。
電氣人?の虞 (光文社文庫)
電氣人?の虞 (光文社文庫)

詠坂 雄二
光文社
文庫
2014-04-10



電気人間、という地域限定の都市伝説がある中、電気人間に興味をもった人が死んでいく、という流れの話なのですが、読んでいるとこれはホラーなのかミステリなのか、物語はきちんと完結するのか真相は闇の向こうのままになるのか、といった落ち着かない気持ちになってしまいました。

つまりは作者の手腕に完全に乗せられたまま、奇妙な雰囲気を堪能しつつ読了したわけですが、ネタばれなしでこれ以上感想を書けそうにありません。読了後の方のみ、クリックしてネタバレ感想をお読みください。



かなり人を選ぶ作品だと思いますので、手放しに他人に勧められないのですが、個人的には大変楽しめました。
さよなら神様
さよなら神様

麻耶 雄嵩
文藝春秋
単行本




どれだけの子供にトラウマを与えたのだろうか、という衝撃的な『神様ゲーム』の続編ですけれど、本作から読み始められても特に問題無いと思います。といいますか、衝撃度はさすがに初見ということもあってか前作の方が高いので、こちらを読んでから前作を読むのもオススメします。

麻耶雄嵩氏だけあって、相変わらず変わった趣向が凝らされています。連作短編なんですが、各話冒頭でいきなり自称神様によって、犯人だけが教えられるのです。つまり5W1Hのうち、Who(誰が)は明かされているので、それ以外の部分に着目する作りとなっています。

正直言うと、最初のうちは変わってるけどそこまで凄くないかな、とか思いつつ淡々と読み進めていました。神様の犯人指摘により、普通だったらあり得ないような推理の真相にいきつく流れは面白いものの、麻耶雄嵩氏ならではのカタストロフィは感じられないかな、と。

わたくしめが浅はかでございました。読み終えた今なら心の底からそう言えます。神様という独自ガジェットを活用する話や、最終話あたりが凄すぎました。神様の底意地の悪さもさることながら、個人的に一番インパクトがあったのはラストのアレでしょうか。生まれて初めてあんな不気味なハートマーク見ましたよ。

完璧な作品、とまでは言えないかもしれないですが、今どきこれだけの衝撃さを味あわせてくれる作家さんは稀有ではないでしょうか。今後も麻耶雄嵩氏の作品から目が離せません。
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