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魔眼の匣の殺人
魔眼の匣の殺人

今村 昌弘
東京創元社
2019-02-20



屍人荘の殺人』(感想)が楽しめたので、第二作はどうだろうかと期待半分こわさ半分で読み始めたんですが、自分好みの内容で楽しめてよかったです。
もう2019年ですけど、2018年に買ったり借りたり鑑賞したりして、良かったと思うものをざっくり書いてみます。購入ブログで各カテゴリーの「スキ」というサブカテゴリーをクリックすれば品名だけは分かりますが、それだけだと寂しいので少しは感想を書いてみます。

なお2018年よりも前に販売されたものも混じってるかもしれませんが、あくまで自分が2018年に手にした、という意味合いです。ジャンルによってはベスト10とか言えるほど数が揃うかも分からないので、順位付けもせずにただただ書き連ねていきます。
崩れる脳を抱きしめて
崩れる脳を抱きしめて

知念 実希人
実業之日本社
2017-09-15



ここ最近はまったく小説のたぐいを読んでなかったんですけれど、久々にこういう伏線がはってあるミステリーを読んで、面白かったです。別に伏線をはってないと絶対ダメだというつもりもないんですが、個人的な好みとしては伏線回収される展開が好きなんですよね。現実ならともかく、創作物なんで。
通院からの帰り道、なんとなく書店を歩いていたら「ネタバレされる前に読んじゃいましょう!」と店頭ポップがあったので、それもそうかと購入してみました。

屍人荘の殺人 〈屍人荘の殺人〉シリーズ
屍人荘の殺人 〈屍人荘の殺人〉シリーズ

今村 昌弘
東京創元社
2017-10-13



世の中にはいろいろなネタバレのラインがあるようで、人によってどこまでバラしていいかは悩みどころだと思います。自分の場合、世間一般よりネタバレには敏感な方で、ツイッターアプリのミュート機能などを駆使して、出来る限り前情報をなくしてあらゆる作品に接するようにしています。

久々に電子書籍ではなく紙の書籍でミステリーものを購入したので、油断せず、基本に忠実にネタバレ防止作業を行いました。もう購入してるんだから、これ以上余計な情報はいらないのじゃよ〜

それでも町は廻っている7巻

ここまでやる性分なんですけれど、本作の感想をネタバレなしでツイートした時、もう少しでネタバレしそうになってたようなので、やはりネタバレへの配慮は難しいですね。

これ以上書くとどこがネタバレに繋がるか分からないので、いつものように要クリックでネタバレ満載の感想を書きます。



とりあえず前情報なしで読んでもらいたいですね。綾辻行人氏といった新本格派ミステリーを読まれた方であれば、この作品の魅力が伝わりやすいんじゃないかと思います。
東京結合人間 (角川文庫)
東京結合人間 (角川文庫)

白井 智之
KADOKAWA / 角川書店
2018-07-24



日本製のいわゆる新本格派ミステリという代物は、とにかく人を驚かせることに注力して、世界中でも独自の進化を遂げたガラパゴス的書籍群だと思います。もう行き着くところまで行ってしまい、これらを読み慣れた読者はそう簡単には驚くことができない体に魔改造されてるのではないでしょうか。

こういう現状を打破するために作中独自ルールを用意する、という流れもありますけれど、本作を読了した結果、まだ人を驚かせる余地はあるのだなぁ、と唖然としました。ここまでやるか、と。

男女が物理的に結合して、目が四つ、手足が各四本ずつの結合人間と化すという世界でのミステリー。こう聞くだけでうわぁと思う人も多いかと思いますが、実際に読んでみたら想像以上にグロいというか気持ち悪くて、人によっては絶対に受け付けないと思います。序盤からインモラルの限りを尽くした猥雑な描写に溢れてるので、いきなり買わずに冒頭の文章で耐えれるか試してからの方が無難かと思います。

中盤まで読んでて「ミステリーのつもりで手にしたけど、勘違いだったのか?」と思い始めた矢先に意外な展開になり、そこからは奇妙な推理が始まって、実は生粋のパズラー気質な作家さんだったのだなぁと感心しました。詳しくは述べませんが、読了後はSAKATAMさんの書評を是非読んでみてください。いろいろな意味で圧巻です。

「鬼畜系特殊設定パズラー」という称号にふさわしい、確実に人を選ぶSFミステリー小説の極北だと思います。
know
know

野崎まど
早川書房
2013-07-25



前情報を何も知らずに読んだので、いつもの野崎まど氏の軽快な文章は鳴りを潜めていて、ハードSF的な流れで話が進んでいくのに驚きました。

とはいえ文章が読みにくいというわけではなく、むしろハードSF的な話の中ではかなり読みやすい方だと思いました。今まで読んだ著作はすべてライノトベルという形式で出版されていたので、情報量を少なめにしたり、ユーモアを多めにしていたのかな、と。

本作では少しビターで斜に構えたような描写が多めで、くすりと笑えるようなところは敢えて無く、今までの野崎まど氏の魅力だった点とは少し違っていたのですが、情報の流れやそれを覆う社会といった描写などが秀逸で、先が気になる構成も手伝い、読み耽ってしまいました。常人を超えた存在を描く手法が、相変わらず冴えわたっています。

「知る」という行為がどこに行き着くのか。終盤ではSFでいうところの「センス・オブ・ワンダー」が十分に味わえ、さり気ない表現で世界の変容を感じさせてくれる点も、さすがの文章力だと感心しました。

やはり野崎まど氏はかなりのSF者だと確信しましたので、次はアニメ『正解するカド』を楽しもうかと思います。
2
大変面白かったです。

野崎まど氏といえば、飄々としたユーモアのある文体を楽しんでいたら、いつの間にか肋骨の間に冷たい刃を差込まれるような展開が待ってるあたりが魅力的なんですが、本作はそんな氏の集大成かと思います。出版社的にはライトノベルというジャンルに属している風であり、文体もライトノベル寄りと言えなくもないのですが、一般的なライトノベルとはかなり趣が違いますね(とても良い意味で)。

これで締めくくりたいくらいなんですが、せっかくなので未見の方向けにあえてオススメの読み方を記載しておきます。勝手にからあげにレモンかけて差し出すような愚行と言えなくもないですが、絶対にその方がおいしく召し上がれるから!と声を大にして言いたい(特に過去の自分に言ってます)。

2 (メディアワークス文庫)
2 (メディアワークス文庫)

野崎 まど
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2013-12-26



あんまり言うとネタバレになるので深くは言いませんが、できれば『2』を読む前に、下記5作品をこの順番で読んでおきましょう。

『死なない生徒殺人事件』
『舞面真面とお面の女』
『小説家の作り方』
『[映]アムリタ』
『パーフェクトフレンド』

死なない生徒殺人事件 〜識別組子とさまよえる不死〜 (メディアワークス文庫)
死なない生徒殺人事件 〜識別組子とさまよえる不死〜 (メディアワークス文庫)

野崎 まど
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2013-12-26



舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)
舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)

野崎 まど
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2013-12-26



小説家の作り方 (メディアワークス文庫)
小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

野崎 まど
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2013-12-26



[映]アムリタ (メディアワークス文庫)
[映]アムリタ (メディアワークス文庫)

野崎 まど
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2013-12-26



パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫)
パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫)

野崎 まど
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2013-12-26



順番もさることながら、できるだけ読んだ記憶が残っている間に読破していったほうがよいです。同じ作家さんを一気に読むともったいないから……と敢えて数年かけて読んだ結果、ほとんど内容を忘れてて『2』を読んで、本来味わえる衝撃を存分に楽しめなくなったら、非常にもったいないと思いますので(特に過去の自分に言ってます)。

あと、本作の裏表紙のあらすじ、けっこうネタバレに近いことが書いてあるので、それすら読まずに手を付けたほうがいいです(この点に関しては、過去の自分は失敗しませんでしたが)。

これから野崎まど氏の作品郡に手を付けるのなら、『死なない生徒殺人事件』の裏表紙を見て興味を持たれるかどうかで判断していいかと思います。でもそれ以降の作品も手にするのなら「野崎まど氏だから」だけの前知識だけで、裏表紙すら見ないで読んだほうが衝撃が大きいのは確かかと。

いろいろ読了後の感想を語りたいところですが、自分では色々補足しきれてない部分もあったりしますので、本サイトではおなじみのSAKATAM氏の書評を読むのを推奨しておきます。

この小説はきっと、とても面白いので。
午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)
午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)

相沢 沙呼
東京創元社
2012-10-26



推理モノではあるんですが、殺人事件などを扱うのではなく、高校生の身の回りに起きたちょっとした不思議な出来事を題材としていて、日常系ミステリーというジャンルに属する作品かと思います。重々しくはないので、軽く読めていいですね。

主人公が草食系で人畜無害なおとぼけキャラなので、人によっては読んでてイライラするかもしれませんが、個人的には楽しく読めました。マジックを披露するときだけは笑顔なのに、普段はそっけないヒロインとの掛け合いがなんかいい雰囲気で、微笑ましいんですよね。

とはいえ、実際のところ殺人こそ起こらないものの、そんな穏やかなシーンだけではなく、けっこうドロドロした部分も描かれていたりします。それでも読後感が悪くないのは、ライトノベルとはではいいませんが、あえて軽く読みやすく配慮している文体や雰囲気がそうさせるのかもしれません。

4つの短編からなるお話なのですが、それぞれのエピソードが全体の物語内での起承転結をうまく担っていて、それだけでなくすべて読み終えると全編を通す謎も明かされる、という作りになっており、そつなく上手い作品だと思います。続編も出ているようなので、そちらも早速読んでみたいですね。


先日感想を書いた『体育館の殺人』は逆説的にインパクトがある作品名だと思ったんですが、こちらの作品は直球的にインパクトがありますね。ここまで仰々しい名前にしたんだから、さぞ凄い仕掛けがあるんだろうと思って手にしてみたんですが……なんだこりゃ(良くも悪くも)。

館シリーズの見取り図にトイレがないのが気になるような人は、これみてどう思うんでしょう。まぁ見取り図はあるんですが、殺人現場の部屋しか図がないんですよ。こんだけのタイトルの作品なのに、館全体の見取り図が存在しないという。

いやぁ、ほんと未見の人に対する説明が難しすぎる作品ですね。パラレルワールドと新本格ミステリーが融合した、と言ってしまえばいいんでしょうか。この作品の特徴的なところを書いてしまうとネタばれになりかねないので、ネタばれ感想でいろいろ書いてみます。



日本ミステリも変わった話がいろいろあると思いますが、その中においてもかなり極北な作品だと思います。こんな話見たことない、てのだけは確か。あんまりSFという部分に期待せず、変わったミステリーを構築するためにSFを用いました、くらいに構えて読むべきかもしれません。

面白かったかどうかと問われたら「楽しめました、個人的には」と余計な一言を付け足さずにはいられない。よほどの物好きじゃないと、気に入ってもらえるかどうかは未知数な代物ではないでしょうか。
体育館の殺人
体育館の殺人

青崎 有吾
東京創元社
2012-10-11



鮎川哲也賞受賞作にしては、タイトルにひねりがないなぁと思って逆に気になってたんですが、読了し終えてからようやく気づきました。綾辻行人氏の館シリーズへのオマージュだったのだと。そう思うと逆になかなか珍しい館シリーズタイトルとも言えるのかも。館モノなのに見取り図にトイレがちゃんとあるなんて……!

内容的には、エラリー・クイーンが相当好きなんだろうな、と分かるくらいに直球勝負の論理的推理モノでした。この分野は出来る限りのことをほぼやってしまった感があるので、敢えてこの分野で若い方が作品を作られるのは逆に凄いことかと思います。真相は今まで見たことがないような奇抜さは無かったものの、そこに行き着くまでの些細な手がかりの繋がりが面白かったですね。よほど好きじゃないと書くのが無理でしょうね、このジャンルは。

探偵役が高校生のアニメオタクという辺りは、必然性があったのかは何とも言えないところですが、他の作品からの差別化という面でみるとこういうキャラづけもありなのかもしれません。少し捻くれた性格だからこそ、ああいった結末になったりしているのも納得できますし。

ちなみにKindleだと冒頭部分と短編一本が無料で読めますので、これから手にしようか悩んでる方は一読してみてはどうでしょうか。

【東京創元社無料読本】 青崎有吾の挨拶
【東京創元社無料読本】 青崎有吾の挨拶

青崎 有吾,田中 寛崇
東京創元社
2015-03-12



作者インタビューを読んで知ったのですが、実は文庫版だと読者への挑戦があるようです。

体育館の殺人 (創元推理文庫)
体育館の殺人 (創元推理文庫)

青崎 有吾
東京創元社
2015-03-13



何やら事情があって単行本版では存在しておらず、文庫化にあたり細かい部分も改修されたらしいので、機会があればそちらも読んでみたいところですね。
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