さすがに裁判はありませんでしたが、立ち退き勧告でサインを求めに行ってるシーンが面白かったです。とは言えソウヤー氏の作品とどうしても比較してしまい、事前に期待していたよりは意外な展開にはなりえなかったと感じてしまって、自分自身の鑑賞の仕方で勝手に損した気分です。
第9地区という場所にはもっと隠された秘密があるんじゃないかと期待してたんですが、生物実験のための隔離地域も兼ねているというのは割と普通に思えました。そこを地域の秘密として前面に押し出した方が効果的だった気もしますが、エイリアンよりも人間の欲望の方が恐ろしい、という演出としては十分良かったと思います。
人の良さそうな主人公が、良くも悪くも人間っぽさを持ち合わせていたのが印象的でした。明らかにコネで昇進したとしか思えない(わざわざ親がそうではないと強調しているシーンで苦笑い)、スーパーマンではない一市民でしかない等身大の主人公なので、慌てたり、悪態をついたり、臆病であったり、といったマイナス面があります。しかし心の奥底では家族への愛だけは揺らがない、だからこそ終盤の展開が活きてきたのでしょう。
前半のドキュメンタリー風な雰囲気で最後までいくのかと思ったら、まさかのアクション展開で驚きました。「誰も殺すなって言ったのに」と相棒エイリアンに引かれるぐらいの暴れっぷりを見てると、「そういえば『ロードオブザリング』の監督が製作協力してるみたいだけど、あの人って実は『ブレインデッド』を作った人でもあるんだよね」と心の声が囁いてきました。
同じ監督の作品を並べてるだけなのに、この違和感はいったい。
あの破天荒ぶりに比べれば、これくらいはまだマシな方なのかも知れません。ギリギリ笑いを誘わないレベルでのB級アクションというか、そんな感じで物語は紆余曲折して思いもよらぬ方向に進むので、最終的に物語をどのように着地させるのかと気になってたんですが、予想以上にキレイな着地で感心しました。冒頭のインタビューが、うまい伏線になってたのだなぁと。
続編が出るとしたら、やはり第10地区になるんでしょうか。あの続きは描かない方がいい気もするんですが、予想外の展開を孕んだ作品に仕上げてくれるのではないか、という期待もあります。